環境と食べる人がともに健康に

古果園の果樹園の樹下には雑草が自生しています。これは「草生栽培(そうせいさいばい)」と呼ばれる農法で、果樹園の運営では特に注目されている栽培方法のひとつです。樹下に生えた雑草は、土の乾燥や益虫の巣となります。また斜面につくられることが多い果樹園は雨によって表面の土が流されやすく、それによって樹の根が露出してしまうことがあります。下草を生やすと、雨が直接土にあたる確率が下がると同時に、草の根で表土を保持し土壌の浸食を防ぐ効果が期待できます。また、果樹の根を考慮して土壌を耕せない果樹園でも、草の根が土壌深く伸びることで土を耕し排水性を高めるなど栽培環境の向上が望めます。さらには下草そのものが有機物の供給源ともなり、環境と共存した栽培が実現できるのだといいます。雑草を生やしたままでは虫がつくのでは?と懸念されるかもしれませんが、樹が本来持つ生命力が引き出された健全な樹には、害虫に負けない力強さが備わっているのです。

自然の摂理に逆らわない

樹下には雑草が生え、毛足の長いじゅうたんのように柔らかに足を受け止めます。クモがあちこちに巣を張り、摘み取り作業をする人たちの行く手をさえぎります。シジミチョウが舞い、時折、摘み取ったみかんに羽を休めます。樹下に茂った雑草は、自然のままに。春には春の、夏には夏の、秋には秋の草が生え、自然の摂理にそって生きています。慣行農法で栽培される果樹園は、みかんの木以外は茶色の地面がむき出しか、ビニルで根本を覆っています。クモの巣もほとんどなければ、雑草も生えていません。茶色と緑の果樹園に囲まれて、古果園の緑とオレンジは異質ではありますが、ひときわ目を惹きます。

徹底して薬をまかない

「薬をまかないなら徹底してまかない。」そうでなければ虫が余計に増えて、何も変わらないのだといいます。「徹底して薬をまかない」栽培方法を続けているから、天と大地に任せて自然と共存する。そんな果樹園でオレンジに実ったみかんの重みに首をたれた枝を、片手でそっと支えながらひとつずつ丁寧に実を摘み取っています。

JAS 有機認証農地

登録認証機関名公益財団法人自然農法国際研究開発センター
生産工程管理者名紀州大地の会
栽培責任者古田耕司
認証番号2001F-52
有機転換日2004年9月4日